イムノPCRによるフェノバルビタール(PhB)の特異的検出法の確立を目的とし、PhB水溶液を用いて最適反応条件の検討を行った。基本操作(基本系)は、まずマイクロタイタ-プレート上に一次抗体(抗PhBマウスIgG)を固相化後、PhB水溶液(10μg/ml)100μlを添加し反応させる。次に一次抗体の変性および解離(変性〜解離)を行い、グルタールアルデヒドでPhBをウエル上のタンパクに固定する。これにDNA標識二次抗体(抗PhBウサギ血清/DNA複合体)を反応させ、DNA断片をPCR増幅して検出する。変性/解離条件を決定するため、1Nおよび5N HCl、1〜0.25NNaOH、メタノールおよびプロテアーゼを作用させ、それぞれ70℃で20分〜2時間の加熱を行った。DNA標識二次抗体を反応させた後の洗浄(最終洗浄)条件についても検討した。以上の検討の他7種の対照実験((1):一次抗体およびPhBを加えないもの、(2):一次抗体のみを加えないもの、(3):PhBのみを加えないもの、(4):DNA非標識二次抗体を用いたもの、(5):PhBを加えずDNA非標識二次抗体を用いたもの、(6):(3)について変性/解離を行わないもの、および(7):(5)について変性/解離を行わないもの)を行った。その結果、1N HClを添加し70℃で2時間加熱して変性/解離を行い、最終洗浄では10分間の洗浄を10回行うことで、基本系およびPhBが直接ウエル上に固相化された対照実験(2)、変性/解離を行っていない対照実験(6)および(7)においてPCR産物が観察された。しかしその他の対照実験においても、非特異的に残存したごく僅かなDNAによりPCR産物が認められる場合があるなど、良好な再現性が得られず実用には至っていない。現在、DNAの非特異的残存を抑制するため、固相媒体にマイクロタイタ-プレートよりも表面積の少ないピンプレートを用いて検討中である。
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