目的:各種全身性自己免疫疾患におけるサイトカイン産生異常について、単球とT細胞の機能に注目して解析を行い、病態に直接つながるサイトカイン異常を見出す。 結果:まず、すでに検討の終了したSLE、慢性関節リウマチ、皮膚筋炎以外の全身性自己免疫疾患の一つであるシェ-グレン症候群について検討を進めた。サイトカインELISPOT法を用いた結果、患者末梢血中にIFNγあるいはIL-2産生細胞数が低下しており他の検討済みの自己免疫疾患と共通性のあることを見出した。また、同症候群は唾液腺・涙腺に限局した病態を呈することも多いが、血管炎等全身性の異常のある患者群でこのサイトカイン産生異常がより顕著であった('96年米国リウマチ学会にて報告)。これは、SLEや皮膚筋炎での結果と一部共通しており、これらの共通した異常が全身性自己免疫疾患に共通の病態に関連していることが予想される。次に、SLE患者末梢血中の単球の機能亢進の指標としてCD25発現についてフローサイトメトリーを用いて解析した。CD14との二重染色や、CD14を分離しての解析を行ったが、SLEと健常人で有意差は認められなかった。また、マグネティックビーズ法で末梢血を各細胞集団に分離した後ELISPOT法を行った結果、SLE患者でのIFNγ産生細胞数は、健常人よりも低下しているがその細胞集団の偏りに目立った変化はなく、最も貢献度の大きいCD8細胞からの分泌低下の関与が大きいと思われた。さらに、健常人末梢単核球でのIFNγ産生細胞数は、外因性IFNγと数時間co-cultureすることにより数倍に増加するが、数人の患者で同様の効果を検討したが健常人と有意な差はまだ認められていない。今後さらに検討を進め、動物実験を含めてより病因に近いサイトカイン異常とその責任細胞を同定し、治療につなげるものとしたい。
|