1)腹膜播種モデルの作成 Fisher系F344ラット200gを実験に用いた。ラット大腸癌RCN-9細胞を培養し1x10^7個を腹腔内に注入した。注入後4日では肉眼的に病変を認めなかったが、注入後7日で腸間膜、腹膜、肝臓に白色の腫瘍の形成が観察された。H-E染色を用いた腫瘍部の組織学的検討で、腺癌細胞を認め、腹膜播種モデル作成を確認した。 2)腫瘍血管の生体下顕微鏡観察 ネンブタール麻酔下にラット腸間膜を恒温槽を装着したステージ上に展開し、腫瘍部を観察した。腫瘍部に新生血管を伴う腫瘍血管の形成が観察された。 3)腫瘍血管の血流速度測定 high-speed video systemを用いて、腫瘍に流入するarterioleと腫瘍から流出するvenuleの血流速度を測定した。周囲の腸間膜の血流に比較して、血流速度が低下していることが認められた。また腫瘍血管径の測定の結果をあわせて算出したshear rateは低下していることが認められた。 4)腫瘍血管と白血球のinteractionの観察 蛍光色素carboxyfluorescein succinimidyl ester(CSFE)をラット頚静脈に注入し、SITカメラシステムを備えた生体蛍光顕微鏡下に腫瘍部の微小循環を観察した。蛍光色素でラベルされた白血球が腫瘍血管とinteractionする様子が観察されたが、腫瘍内での動静脈の血管内皮に接着する白血球は他の腸間膜に比較して減少した。
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