S-D系雌性ラット(体重200-300g)から分離してカバーガラスづえに播種・培養した肝伊東細胞を用いて、電位依存性カルシウムチャンネルの存在について経時的に観察した。培養7日目までの細胞ではカルシウムチャンネルはほとんど同定することはできなかったが、それ以降は徐々にカルシウムチャンネルを観察することが出来るようになり、その発現頻度は10日目で約30%、14日目で約60%であった。BrdU labeling indexを用いて細胞分裂・増殖とカルシウムチャンネル発現の因果関係を調べたところ培養5日目までは約60%と盛んに増殖しているが、7日目で16%、10日目で6%、14日目で1.6%と低下していた。また伊東細胞の活性化を表すα-amooth muscle actinも10日目以降に強く発現しており、伊東細胞が分裂・増殖した後に活性化してmyofibroblast-like cellになるとカルシウムチャンネルの発現が増えることが判明した。そこで、このカルシウムチャンネル発現に及ぼすサイトカインの影響を検討するため、伊東細胞の線維化能を高めるTGF-β1を1ng/mlの濃度で培養液に添加し、24時間毎にfreshなTGF-β1入り培養液に変えながら経時的にカルシウムチャンネルの動態を観察したが、その発現率に著変なかった。今後はその他のサイトカインやアルコールで培養したり、細胞外気質としてcollagen、ラミニン、フィブロネクチンなどで培養皿をcoatingしてカルシウムチャンネルに及ぼす影響を検討していく予定である。
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