1.N-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼcDNAをSBC-3細胞株より単離後、発現ベクターpBMG-Neoを用いLLC細胞株およびB16細胞株に導入した。ガングリオシドGM2の高発現をフローサイトメトリーにて確認した。 2.GM2陽性であるSBC-3および強陽性のアドリアマイシン耐性ヒト肺がん細胞株SBC-3/ADMを標的とし、ヌードマウス皮下移植モデルを用い抗GM2キメラ抗体のin vivo抗腫瘍効果を検討した。2x10^7個のSBC-3およびSBC-3/ADM細胞を移植し、7日後より100μg/マウス・日のキメラ抗体を静脈内投与行った。毒性は観察されなかった。治療終了時には4/5マウスに腫瘍の縮小を認め、最終的に2/5マウスで完全消失を認めた。SBC-3/ADM腫瘍径は約5mmで全て(4/4)のマウスにおいて完全消失を認めた。SBC-3/ADM腫瘍においては治療群に比較して遅れるもののコントロール群の腫瘍も経時的に腫瘍の縮小を認め評価不能であったが、その要因がナチュラル・キラー細胞のようなアシアロGM1陽性細胞である可能性が示唆された。そこで、アシアロGM1陽性細胞のSBC-3/ADMに対する細胞障害性を抗アシアロGM1抗体を用いてブロックしたSBC-3およびSBC-3/ADM細胞を移植系でキメラ抗体の効果を評価した。治療開始時におけるSBC-3腫瘍径は約9mm、SBC-3/ADM腫瘍径は約10mmであったが、治療終了時には各々の群で4/5、5/5マウスにおいて腫瘍径が1/2以下になる効果を認めた。最終的には3/5、5/5マウスにおいて完全消失を認めた。 以上からガングリオシドGM2の高発現細胞に対してin vivoにおいてもKM966は強い抗腫瘍効果を有することが示された。毒性は観察されず、抗ガングリオシドGM2キメラ抗体のin vivo内の有用性の高さが示唆された。
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