神経ベーチェット病(BD)患者末梢血白血球特にTリンパ球および顆粒球の機能を解析する目的で以下の実験を行った。 1.末梢血白血球特にTリンパ球および顆粒球上の表面抗原の解析 BD患者13名、健常人10名の末梢血白血球の表面マーカーをFACScanを用いて解析した。Tリンパ球上のFas抗原発現率(CD3+Fas+)は、健常人12.6%、BD患者8.2%であった。顆粒球上のFas抗原の発現率(CD16+Fas+)は、健常人30.5%、神経BD患者4・6%、その他のBD患者7.1%であった。さらに顆粒球上のCD11bの発現率(CD16+CD11b)は、健常人87.2%、神経BD患者79.6%、その他のBD患者85.9%であった。 抗Fas抗体を用いたDNA*fragmentationの検討と抗CD16抗体を用いた細胞内シグナル伝達機構の検討 BD患者末梢血よりリンパ球を分離し、PHAで3日間刺激後、抗Fas抗体で刺激すると%DNA*fragmentationは、健常人53.1%、BD患者58%であった。 また、BD患者末梢血より顆粒球を分離し、抗CD16抗体で刺激を加え、5分後のチロシンリン酸化タンパクの解析をWestern blot法を用いて行った。28KDa付近に健常人、患者共通のチロシンリン酸化タンパクのバンドを認めたが、21KDa付近にBD患者でチロシンリン酸化タンパクが認められた。 これらの結果より、神経BD患者と健常人ならびその他のBD患者との間に表面分子の発現率が異なる傾向がみられ、また細胞内情報伝達機構にもBD患者と健常人とでは異なることが示唆された。
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