本研究の目的は、ゴ-シェ病の神経症状発現の機序を明らかにすることである。本年度は、日本人神経型ゴ-シェ病25例(タイプ2:11例、タイプ3:14例)の遺伝子解析を行い臨床症状との相関を検討した。 タイプ2の発症年齢、死亡年齢はそれぞれ新生児〜11ヶ月(平均4.7ヶ月)、新生児〜21ヶ月(平均12.7ヶ月)と以前考えられていたより、heterogenousであり、特有な遺伝子型は存在しなかった。1447-1466del 20 ins TG変異をもつ3症例は、早期発症の蛍光にあった(3ヶ月、新生児、2ヶ月)。タイプ3の神経症状は、1才4ヶ月〜28才と非常に幅広い年齢にわたって認められた。 遺伝子型と臨床症状との相関をみると1448C/1448Cは、スウェーデン人ゴ-シェ病においてタイプ3aにlinkしているのに対し、日本人ゴ-シェ病では、1448C/1448Cは、タイプ3bにlinkし(4/5)、1342C/1342Cは、タイプ3cにlinkしていた。 アラブ人ゴ-シェ病に多発する特異的な臨床症状(角膜混濁、心弁膜症、水頭症)を呈するタイプ3cの遺伝子型は、日本人、スペイン人、トルコ人のすべての人種で1342cのホモであった。 以上のように、神経型ゴ-シェ病の神経症状発現には、遺伝子型、人種などの多彩な因子に限定されていることが明らかとなった。
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