研究概要 |
(1)臍帯血の採取とその造血前駆細胞の回収に関する検討。50名の健常妊婦で正常満期産の臍帯から臍帯血を採取して検討した結果,18Gの注射針を用いた場合39±12.1mlであったのに対し、8Frカテーテルに100mlのシリンジを組み合わせてれば120±16.9ml採取することができ、さらに採取時の血液の凝固を減少させることができ、この組合せが最適であると考えられた。造血前駆細胞の回収は、Percoll(比重1.083)及びHESがBuffycoatを用いた場合と同等のCFU-MIX,CFU-GM,BFU-Eが得られ、操作の簡便性も考えるとHESが最も有用だと考えられた。 (2)造血前駆細胞のinvitro増幅。貪食細胞除去臍帯血単核球(PD-CB-MNC)をCD34-FITC、CD2,CD10,CD19,CD20,CD33,CD38,antiDR-PEを用いて二重染色しFACStarPLUSを用いてsortingを行ないCD34(+)Lin(+)DR(+)分画とCD34(+)Lin(-)DR(-)分画に分けた。それぞれの分画をSCF,IL-3,IL-6,G-CSF,EPO等のサイトカインを種々組合わせて長期液体培養及びメチルセルロース法によるコロニーアッセイでCFU-MIX,CFU-E,BFU-E,CFU-GM等の計測を行なった。その結果CD34(+)Lin(-)DR(-)分画に造血幹細胞が含まれており、SCF+IL-3+IL-6の組合せで液体培養する事により造血前駆細胞が2週間後に最も増加し、SCF+IL-6の組合せで6週間後まで造血前駆細胞が維持されることが明らかとなった。(3)造血前駆細胞のin vivo(SCIDMICE)増幅と分化及びPCR法を用いたヒト特異的細胞の同定。さらに造血幹細胞を含むと推測される造血前駆細胞分画を、放射線照射したSCID MICEに経静脈的に投与した結果、SCID MICEの骨髄及び末梢血中のヒトの細胞の存在が確認され、それらはCD45、CD19、CD20、CD13、CD33、glycophorin、CD34陽性細胞であった。またMCT118をPCR法で検討したところSCID MICEに投与した細胞はヒト特異的かつ個体特異的であることも同時に証明出来た。
|