当初の計画に基づき、informed conscentを得た、アトピー性皮膚炎(AD)患者および健常人から、ヘパリン加採血を行い、比重遠心法により末梢血単核球を分離、酸処理により単核球表面のIgEを取り除き、96穴培養プレートに分注し、付着細胞を単球とした。以下の種々の刺激を加え培養し、その上清中のTumor necrosis factor-α(TNF-α)をTNF-α ELISA kit(R&D社)にて測定した。AD単球を抗高親和性IgEレセプターモノクローナル抗体(aFc ε RI mAb)、抗低親和性IgEレセプターモノクローナル抗体(aFc ε RII mAb)で刺激したところ、未刺激の場合(100%)に比べ、aFc ε RI mAbでは、“有意なTNF-αの遊離(238.0%【.+-。】124.4)が認められたが、aFc ε RII mAbでは、有意差は認められなかった。さらに、reverse transcription polymerase chain reaction(RT-PCR)法により、aFc ε RI mAbによるTNF-αのmRNAの発現も確認した。また、IgE免疫複合体(IgE-aIgE)、1ipopolysaccharide(LPS)の刺激でもそれぞれ、390.7%【.+-。】226.2、350.9%【.+-。】167.7と有意なTNF-αの遊離を認めた。しかし、IgEのみや抗IgEモノクローナル抗体のみの刺激では、いずれも有意なTNF-αの遊離は認めなかった。また、aFc ε RI mAbやIgE-aIgE刺激によるTNF-αの遊離は、血清中IgE-RIST値とは相関しなかった。一方、健常人から採取した単球では、LPSの刺激で有意なTNF-αの遊離を認めた(146.2%【.+-。】15.8)が、その程度はADに比べ有意に低かった。aFc ε RI mAb、aFc ε RII mAb、IgE-aIgE刺激では、未刺激時と同程度のTNF-α遊離しか観察されなかった。以上の結果より末梢血単球においてFc ε RIおよびIgE依存性にTNF-αが遊離されることが明らかになった。現在までにわれわれはFc ε RI架橋により、prostaglandin E2が遊離される事を報告しているが、、Fc ε RI依存性に単球よりTNF-αなどアレルギーに関与するサイトカインが産生され、ADなどの病態を就職されている可能性が示唆された。
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