研究概要 |
紫外線による皮膚障害、特に発癌、老化、炎症に活性酸素が関与していることは周知の事実である。一方、皮膚にはこの紫外線による酸素毒性による防御機構としてsuperoxide dismutase(SOD)が存在し、皮膚における活性酸素による過剰な反応を防いでいる。皮膚の最外層に位置し、絶えず紫外線の影響を受けている表皮細胞に関しては、中波長紫外線ultra violetB(UVB)照射により表皮細胞内のSOD活性が低下することがin vitroで判明しているが、UVB照射後の表皮細胞内のSOD、さらにcopper,zinc-SOD(Cu,Zn-SOD)およびmanganse-SOD(Mn-SOD)の経時的変化は調べられておらず、その詳細については不明である。そこで今回われわれは、UVB照射後の表皮細胞におけるSODの経時的変化を、活性測定法およびELISAによる蛋白定量法を用いてin vitroで検討した。その結果、SOD活性はUVB照射直後に有意に上昇し、その後漸減しコントロールレベルよりも低下し、UVB照射24時間後にコントロールレベルに回復することが判明した。さらにELISAによるCu,Zn-SODおよびMn-SODの分別定量では、Cu,Zn-SODはUVB照射直後より減少し、照射24時間後にコントロールレベルに回復ることを明らかにした。すなわち、UVB照射後に表皮細胞内のCu,Zn-SODおよびMn-SODは異なった経時的変化をとることが判明した。この事実より、UVB由来の酸素毒性に対する防衛機構において、Cu,Zn-およびMn-SODは異なった役割を果たしている可能性が示唆された。
|