1。塩化タリウムの腫瘍細胞内局在分布を解明する目的で、Vx-2腫瘍担癌家兎(n=5)に^<201>TlCl(20MBq)を耳介静脈から静注し、静注10分後に腫瘍細胞を針生検にて採取、採取したVX-2腫瘍細胞内の^<201>TlCl局在分布をSIMSにより評価することを試みた。その結果、^<201>TlClは腫瘍細胞内で細胞質内に取り込まれている事が判明した。当初、さらに詳細に渡る局在分布および定量評価まで可能と判断したが、現在、新規導入機器であるSIMAの調整に難航しており、この水準の評価にとどまっている。SIMS本来の性能を考えれば当初の目的の達成は可能と判断され、且つ、本研究は検体標本作成までは完了している。SIMSの調整がつき次第、より詳細な結果を報告したい。^<99m>TcMIBIに関しても同様である。 2。塩化タリウムの腫瘍細胞集積増強を目的にVx-2腫瘍担癌家兎(n=5)に対しヒューマリンR(インスリン製剤):1単位、20%ブドウ糖:5mlを耳介静脈から静注、直後に^<201>TlCl(20MBq)を静注し、10分後に採血後屠殺し腫瘍を摘出、摘出した腫瘍および血中^<201>TlClの放射活性を測定するとともに、腫瘍細胞内の^<201>TlCl局在分布をSIMSにより評価した。腫瘍内^<201>TlClの放射活性および腫瘍細胞内の^<201>TlCl局在分布には明らかな変化は認められなかったが、血中^<201>TlClの放射活性は有意に低下しており、血中のバックグランドを低下させることでシンチグラフィー上、腫瘍の描出能の向上が可能と判断された。今後、インスリンおよびブドウ糖の至適投与量に関して検討していきたい。尚、^<99m>TcMIBIに関しては、明らかな変化は確認できなかった。
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