研究概要 |
Cキナーゼによるリン酸化がどのようにレチノイドXレセプター(RXR)による転写調節を修飾するかを明らかにする目的で以下の実験を行った。CV-1細胞に各RXR(α.β.γ)のcDNA発現プラスミド、及びRXR反応DNA領域(DR1)を含んだリポータープラスミドを、補正用RSV-β-galactosidase発現プラスミドとともにco-トランスフェクションした。9-cisレチノイン酸(9cRA)又はTPAを添加してのインキュベーションの後に、細胞抽出液をルシフェラーゼアッセイに供じた。その結果、TPAはRXRα,β,γ各アイソフォームにおいて、9cRAと同様の転写活性の上昇を引き起こすことが認められた。TPA及び9cRAを同時に添加したところ、RXRαおよびβにおいては相加的な転写活性の上昇のみが認められたのに対して、RXRγにおいては相乗的な転写活性の上昇が認められた。各RXRアイソフォームは、N端部分を除いては殆ど共通の構造を有していることが知られている。RXRγのN端ドメインには、RXRαおよびβのN端ドメインには存在していないCキナーゼによる推定リン酸化部位が複数個存在することから、現在それらの推定リン酸化部位の変異株をsite-directed mutagenesisにより作製中である。これらの変異株を用いてトランスフェクションおよびルシフェラーゼアッセイを行うことにより、TRAと9cRAによるRXRγの相乗的な転写活性の上昇にN端部分のCキナーゼ推定リン酸化部位がどのように関与しているかを今後明らかにしていく予定である。
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