我々は、平成7年度までにCHO細胞を用いて活性型リコンビナント血小板膜糖蛋白GPIbα(M239V)を発現させ、さらにヒトGPIbαを発現するトラスジェニックマウスの作成にも成功していた。 本年度においては、まず培養液中に含まれるM239Vを精製純化することに主眼がおかれた。当初は既存の抗GPIbαモノクローナル抗体を担体に結合させ、アフィニテイークロマトグラフイ-によりM239Vを純化することを試みたが成功しなかった。次にGPIbαと結合すると言われているトロンビンを担体に結合させ純化することを試みたところ目的を達することができた。この行程により分子構造変化が生じていないことを、抗GPIbαモノクローナル抗体との反応性が保たれていることにより確認した。さらにvon Willebrand factor(vWF)との結合性を評価することにより、純化M239Vが、野性型GPIbαと比較してvWFとの結合能の亢進という性質を保持していることを確認した。 次に、ヒトGPIbαを発現するトランスジェニックマウスに、純化M239Vを繰り返し投与し、immunizationを行った。現在マウス脾臓由来のリンパ球をELISAを用いてスクリーニングしており、野性型GPIbαには反応せず、M239Vには反応するクローンを選別し、いくつかの候補を得た段階である。今後これらのクローンからハイブリドーマを作成し、目的とする活性型GPIbαを認識するモノクローナル抗体を得る予定である。
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