研究概要 |
今年度はEBER1をプローブとするin situ hybridization(以下ISHと略)の系とEpstein-Barr virus(以下EBVと略)のDNA定量目的のPCR測定系を設立した。 いずれも、患者末梢血液をサンプルとし測定するものである。 移植患者の移植前、移植後第一日、同3日、同7日、同14日、同30日、同60日に検体をサンプリングした。また、外来患者においても、EBV感染が疑われた場合は適宜サンプリングした。 1、ISH EBVのRNAプローブを購入し、さらにEBV感染細胞であるRaji cellを購入し陽性コントロールとした。染色に関してはin situ hybridization検出キットを購入使用した。陽性コントロールに対しては良好にEBV感染リンパ球の検出が可能であった。また臨床からえられた検体において陽性細胞は、全ての症例において検出されなかった。これについては、実際にEBV感染細胞が存在しなかったのか、或いは技術的問題にて検出できなかったのか、この2点が考えられたがISHに関しては、ある程度の染色の技術の習熟が必要と考えられ、今後検査施行件数をかさねたうえで検討、対処して行きと考える。今回は、EBER1プローブにてLatent infectionのリンパ球の検出のみ施行し、BHLF1プローブによるLytic infectionのリンパ球の検出は施行しなかった。 2、PCR 上記の時期に移植患者の血液をサンプリングしDNA抽出液キットを用いて全血中のDNAを抽出した。EBVのtypeA,typeBそれぞれのEBNA1領域のプライマーを設定し、まず、それぞれの検体中のEBVがtypeAかあるいは、typeBかを通常のPCRの方法を用いて鑑別、同定した。 また、別にtypeA,typeBそれぞれのEBVを定量のPCRに用いるcompetitorとするために、段階的に希釈したコントロールを作成した。PCRによるEBVのDNA定量はsemi-nested competitivePCRにて施行した。PCRによる、typeA,Bの鑑別は(EBV-PCR定性)は、全例とも可能であった。しかしながら定量に関しては、検体サンプリングの初期量に問題があると考えられ今後の検討、追及が必要と考えられた。
|