研究概要 |
手術等の侵襲による肝、肺および脾内のMacrophage(Kupffer細胞)の貧食能および殺菌能の低下が門脈血中に進入したmicro-organisumのクリアランスを低下させ、Bacterial Translocationを助長し、臓器障害をきたすのではないかと仮説し、以下の知験を得た。臨床例で、手術によって小腸粘膜のintegrityの指標であるdiamine oxidaseが減少し、手術侵襲によって小腸粘膜が傷害され、術前から小腸粘膜傷害が存在する症例では術後合併症が生じやすく、その傷害の程度は手術侵襲に比例することが明らかとなり、周術期の免疫能の低下が小腸粘膜傷害、bacterial translocation、術後合併症と関連があることが類推された。また,術後合併症が生じた症例では小腸粘膜傷害が遷延することが明らかとなった。また、現在、門脈、全身血のエンドトキシン濃度を測定し、bacterial translocationの臨床実態について検討するとともに、長期絶食時に小腸粘膜の栄養源であるglutamine等の投与による小腸粘膜の萎縮、bacteria translocationの防止硬化について現在、臨床検討中である。また、ラットおよびマウスの肝臓、小腸の虚血再灌流モデルを用いて以下のパラメーター測定中である。ア)小腸粘膜の増生や傷害の程度、肝臓の傷害を組織学的および酵素学的に検討。イ)小腸粘膜の増生の指標である血中diamine oxidaseの活性を測定。ウ)門脈血および動脈血中のエンドキシンを測定。エ)Macrophage活性抑制剤を投与することによる上記傷害の変化。
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