研究概要 |
本研究では、生体磁気刺激における刺激電流である誘導電流の拡散性を克服し、各種材料の植込により局所的な生体刺激を実現する為に以下を行った。Visible HumanプロジェクトによるX線CT像断層データ(アメリカ人男性、スライス間隔1mm)に基づき、腰部を中心に臍〜骨盤程度までの断層像約350層を使用することで、NIH-Image上で体表及び骨の輪郭データを抽出し、光造形法(DENKEN,SLP-5000)により生体モデルを作成した。その際、光造形機の造形可能範囲を考慮し、表皮輪郭で12分割、骨では6分割とモデルを複数に分割して作成した。また1mmの断層間で表面形状が粗くなることを避けるために中間断層像データを作成した。次にこのモデルを生理食塩水で満たし局所化効果を確認した。即ち、刺激コイルには巻数10、インダクタンス6μHの平巻コイルを用い、ファンクションジェネレータにより10kHz、0.2Aの電流で駆動した。モデル外に配置した刺激コイルより発生する変動磁界により生理食塩水中に誘導電流が生じ、その計測の為に微小同軸ケーブルを加工して新たに3次元電流プローブを作成した。誘導電流センサの出力は差動アンプ(MEG-2100日本光電工業株)により増幅された後にオシロスコープにより計測した。以上の実験装置に基づき植込材料を配置する場合としない場合で誘導電流密度の計測を行い、2倍程度の局所化効果を確認した。また連続パルス磁界に対しモデル内部に誘起される誘導電流分布を計測した。更にこの結果を有限要素法(Ansys5.2)に基づき3次元調和磁場解析による誘導電流密度の分布解析を行った結果、実験結果と良好な一致が得られ、誘導電流の局所化の検討に関しては有限要素法によるシミュレーションが有効と考えられた。
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