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1996 年度 実績報告書

静止期癌細胞の細胞周期導入時においてG1/Sに先行する未知のG0/G1 event

研究課題

研究課題/領域番号 08770951
研究機関聖マリアンナ医科大学

研究代表者

太田 智彦  聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (60233136)

キーワード癌 / 細胞周期 / G0期 / cdc2 variant / p27
研究概要

我々はG0期で停止し得る癌細胞を用い、G0期より細胞周期に入るときに、G1/S期でcdc2,cdk2,cyclin-D1の発現、Rbの燐酸化が起こるが、これに先行してそれまで発現していたcdk2とcyclin-D1がいったん消失し、再びRbの燐酸化と同時に発現することを報告した(Exp.Cell Res.225:85-92,1996)。今回、このcdk2とcyclin-D1の発現消失と関連する、p15,p16,p18,p21,p27などのcdk inhibitor(CKI)の発現を解析した。その結果、これらのCKIのうち、p27はG0期に強発現し、細胞周期導入時にRbの燐酸化に先行してcdk2とcyclin-D1の発現消失に伴って発現減弱することが分かった。すなわちG0期においてはcdkとcyclinはp27とのcomplexの形で存在し、増殖刺激により、まずこのcomploex全体のdegradationが起こることが示唆された。
これとは別に我々は細胞周期制御遺伝子の異常を、RT-PCRを用いたクローニング法を行ってスクリーニングした結果、deletion typeのcdc2 variant(Δcdc2)を発見した(日本DNAデータバンク♯D88357)。Δcdc2は乳癌組織、乳癌細胞株(MCF7)には発現を認めたが、正常ヒト線維芽細胞株(NHLF,HDF)やmitogen刺激後増殖期ヒトリンパ球からは検出されなかった。Δcdc2は正常なcdc2に比べ、57のアミノ酸を欠失した260のアミノ酸よりなる蛋白質で、cyclin binding siteおよびATP binding site(Lys33)は保たれているが、Thr161を含むいわゆるTループが欠如している。このことから、Δcdc2はCAKによるThr161の燐酸化というシグナルなしに、酵素活性を発揮する可能性をもち、DNA合成完了の前に細胞を分裂に導き、癌細胞の遺伝子異常の過程に関与しているものと思われる。現在蛋白レベルでの機能を解析中である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 太田智彦: "Behavior of the Cell Cycle-Associated Proteins in an Unusual GO-Arrestable Cancer Cell Line" Experimental Cell Research. 225. 85-92 (1996)

  • [文献書誌] 太田智彦: "Analysis of Cdc2 and Cyclin D1 Expression in Breast Cancer by Immunoblotting" Breast Cancer (J.Jpn Breast Cancer Soc.). 4・1. 17-24 (1997)

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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