活性型Vitamin D_3誘導体(OCT:22-oxa-calcitriol)が(1)ラットDMBA誘発乳癌に対して抗腫瘍効果を示し、(2)内分泌臓器や内分泌動態に影響をあたえないこと、(3)Estrogen receptor(ER)値の低下を抑制すること、(4)組織学的所見ではより高分化な構造へと変化することは既に報告した。 今回は組織学的な構造の変化とレセプター値の関係を細胞レベルで解析するために、免疫組織染色を用いてレセプター陽性細胞の分布と組織学的な構造の変化について検討した。その結果、OCT投与群では腫瘍のER値(DCC法)は上昇傾向を示し、monoclonal抗体によるER染色では部分的な染色性の増加が見られたが、対照群に比して明らかな差を認めなかった。 さらに、OCTの細胞周期に与える影響をFlow cytometerを用いて検討した。その結果、OCT投与群はcontrol群に比してS phase fractionやG_2/M phase fractionは低下傾向を、またG_0/G_1 phase fractionは増加傾向を示した。 以上よりOCTのホルモン依存性腫瘍における抗腫瘍効果は主にcytostatic作用によるものであり、同時に受容体のup regulationを伴うことが示唆された。
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