雌老化促進マウス86匹(SAM-R/1 41匹、SAM-P/6 45匹)を用い、12、24、36、48、60、72週齢において左大腿骨を摘出し、DXA(DCS-600:アロカ)にての骨密度の測定、力学試験機(AG25TD:島津)を用いた3点曲げ破壊試験、および大腿骨断面構造の計測を行った。 骨密度は両系とも36週齢をピークに以後減少した。各週齢で両系間の有意差を認めなかった。力学試験の結果は12週齢では剛性がR/1よりP/6が高値であったが、最大変位、破断強度、Toughnessは低値であり、R/1よりP6が硬いががもろい骨であることを示唆していた。36週齢および48週齢では力学的パラメターの差を認めなかった。72週齢ではR/1とP/6は剛性が同程度であるが、最大変位が低値となり破断強度、Toughnessが減少し骨は力学的に脆弱となっていた。36週〜60週では平均皮質骨厚に差はないが、断面積および断面二次モーメントはR/1よりP/6が有意に高値を示し、破断強度はR/1とP/6で有意差がなく、P/6の力学的強度が保たれていた。すなわち、P/6が36週〜60週においてperiosteal expansionを発現しており、骨脆弱性の代償機構の存在を示唆していた。しかしこの代償機構も72週までは維持できなかったため、急激な骨強度の低下を来したと考えられた。 老化促進マウスは自家繁殖させ実験に供しているため、個体数が充分ではなく、ビスホスホネート投与後の標本はまだ得られていない。今後標本が得られ次第、骨塩定量・力学試験を施行する予定である。
|