研究概要 |
(対象)対象は、両股関節単純X線前後像にて1年以内に急速に股関節の破壊がみられRDCと判断された8例である。対照は、変形性股関節症(OA)15例であった。 (方法)RDC患者の関節液を人工股関節置換術の際の関節包切開の前段階で、ヘパリンを加えて10ml採取する。OA患者においても同様に股関節手術の際に関節液10mlを採取する。採取された関節液はただちにヒアルロニダーゼで処理することによりムチンを除去する。次に、関節液を遠心分離(1500rpm、10分間)することにより、上清を分離し、-80度で上清を保存する。保存された上清を用いて、関節液中の補体フラグメントC3a、C4a、C5aおよび炎症性サイトカインのIL-1α、β、TNF-α、β、IL-6、IL-8を測定し、それぞれの項目においてRDCとOAを比較検討した。 (結果)RDCにおけるそれぞれの測定値の平均はC3aで2350ng/ml、C4aで4620ng/ml、C5aで36ng/ml、TNF-αで1.8pg/ml、TNF-βで0pg/ml、IL-1αで0.34pg/ml、IL-1βで24pg/ml、IL-6で918.5pg/ml、IL-8で494.8pg/mlであった。一方OAではC3aで1350ng/ml、C4aで2110ng/ml、C5aで26ng/ml、TNF-αで1.5pg/ml、TNF-βで0pg/ml、IL-1αで0pg/ml,IL-1βで9.0pg/ml、IL-6で307.4pg/ml、IL-8で101.1pg/mlであった。補体フラグメント、炎症性サイトカインの全てにおいてOAよりRDCのほうが高値であり、RDCの関節内では高度な炎症が発生しているものと思われる。これらのデータをもとに、臨床との関連についても検討していく予定である。
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