研究課題/領域番号 |
08771135
|
研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
安藤 宗治 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (40264890)
|
研究分担者 |
林 信宏 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (50244752)
川上 守 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (20195051)
|
キーワード | 術後瘢痕 / ヒアルロン酸 / 神経根 / 機能診断 |
研究概要 |
今回の研究の目的は神経機能の観点から脊椎手術後の瘢痕形成の予防法を評価することである。 SDラットを用いて片側の第6椎弓切除を行った後、左第6腰神経根を露出させ1)神経根周囲にヒアルロン酸を散布、2)神経根周囲にステロイドを散布、3)何も散布しない群のそれぞれの3群のモデルを作成した。 処置後2週、4週目に下肢に熱刺激を加え、下肢を逃避させるまでの時間(thermal withdrawal time)を測定し、処置側と健側の時間を比較することによって処置側に痛覚低下又は痛覚過敏が生じているか否かを観察した。4週目には、更に健側及び処置側の坐骨神経を電気刺激し、左右の第6腰神経根から根電位を記録した。 (結果)各群間でthermal withdrawal timeの左右比較を行ったが、2週目で1群、2群、3群でそれぞれ、2.1%、-2.4%、2.6%と各群間では有意な差は認められなかった。4週目においても同様に、有意差は認められなかった。坐骨神経刺激による根電位の測定では、神経伝導速度の左右差(右側-左側)は、2週目ではそれぞれの群で0.1ms、0ms、0.1msと特に左右差は観察されなかた。4週目においても同様の傾向を示した。又、根電位の波形に関しても、すべての群で陽性電位や時間的分散はみられず、正常の陰性スパイク波を呈した。 (考察)thermal withdrawal timeで各群間で差を認めなかったことは、神経根周囲の瘢痕痙性だけでは痛覚低下又は痛覚過敏が生じない可能性があると考えられる。実際の臨床例で問題となってくるのは、圧迫等の障害を受けていると考えられる神経根であるが、今回の実験では正常の神経根を対象としたため差がでなかった可能性がある。
|