Young adult(26週齢)のWistar系雄性ラットに最大酸素摂取量の60%の運動強度のトレッドミル走行運動を1日1時間、週5日、12週間負荷し、骨形態計測の手法を用いて、脛骨の近位部海綿骨と中央部皮質骨における骨量し骨代謝の経時的変化について調査し、運動負荷が荷重骨の骨量及び骨代謝に及ぼす影響について検討した。非運動群(対照群)では、海綿骨と皮質骨とも骨量は、0、4、8、12週で有意な増減はみられなかった。すなわち、young adult(26週齢)のラットでは骨成長はプラトーに達していた。運動群では、海綿骨と皮質骨とも、骨量は運動負荷開始後4週では対照群と有意差はなかったが、8及び12週では対照群より有意に大きかった(p<0.05)。一方、骨代謝動態については、運動群では、骨吸収と骨形成とも、運動負荷開始後4週では対照群と有意差はなかったが、8および12週では海綿骨のtrabecular bone surfaceにおける骨吸収の抑制と骨形成の促進が、また、皮質骨のendosteal surfaceにおける骨吸収の抑制とperiosteal surfaceにおける骨形成の促進がみられた。以上から、中強度の走行運動は、荷重骨では骨吸収の抑制と骨形成の促進により、海綿骨と皮質骨とも骨量の有意な増加が得られることが示された。しかしながら、今回用いた骨形態計測では、運動負荷開始後早期の骨代謝動態を捕らえにくく、これに関しては分子生物学的手法を要すると考えられる。今後の課題として研究を進めていきたい。
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