研究概要 |
1.昨年申請者らが同定した新規骨形成タンパク質BMP-3bの機能解明を目的に、リコンビナントタクパク質を調製を試みた。 (1)一過性発現によるリコンビナントタンパク質の調製 COS1細胞にて発現を試み、ウエスタンブロッティングにて発現を確認した。 (2)安定発現系によるリコンビナントタンパク質の調製 (1)の結果、発現タンパク量が非常に少ないことが判明したので、5種類の宿主細胞の発現を試み、ウエスタンブロッティングにてリコンビナントタンパク質の発現量を検討した。その結果、CHO細胞によるリコンビナントタンパク質が最も多く発現していた(40マイクログラム/リットル)。 (3)リコンビナントタンパク質の精製 リコンビナントタンパク質をCHO細胞の5リットルの培養上清よりヘパリンセファロース、ConAセファロース、および逆相HPLCにて精製を行った。成熟タンパク質として30マイクログラムおよびプロセッシングの不完全なプロ体タンパク質として170マイクログラムを得た。 (4)リコンビナントタンパク質の構造決定 リコンビナントタンパク質のN末端アミノ酸配列およびトリプシンにより切断した生成したペプチド断片のアミノ酸配列を解析した。その結果、リコンビナントタンパク質の一次構造はcDNA構造から予想されるアミノ酸配列と完全に一致し、成熟体部分はダイマーを形成していることを確認した。また、C末端の糖鎖の有無によるヘテロダイマーの存在を明らかにした。 2.リコンビナント標品を用いてBMP-3bのin vivoでの骨形成活性を検討した。 (1)1で調製したリコンビナントタンパク質を用いてラット皮下における異所性骨形成活性を検討した。その結果、9マイクログラムもの大量のリコンビナントタンパク質でも骨形成活性は示さなかった。 (2)新生仔ラット頭蓋骨骨膜下における同所性骨形成活性についても検討を行ったが、活性は示さなかった。 上記の結果を踏まえて、今後はin vivoの系および骨以外の組織(脳、血管など)における生理作用さらには本因子とBMP-2,4,7などとのヘテロダイマーでの生理活性の検討によりBMP-3bの生理作用解明に取り組んでいきたい。
|