1.ショックモデルラットの消化管よりリンパ球の分離培養 出血性ショック後またはエンドトキシンショック後のラット小腸上皮細胞間リンパ球の分離を試みたが、回収率、生存率とも悪く2〜6×10^2/ml程度のリンパ球しか得られず(通常は8〜12×10^6程度)、このリンパ球を用いての実験は一時あきらめざるを得なかった。(今後も継続の予定) 2.サイトカインの測定 上記理由のため測定できず。 3.好中球活性化の検討 上記理由のため測定できず。 4.組織学的検討 回腸末端部の組織学的変化は、出血性およびエンドトキシンショックとも、光顕的(HE染色)には軽度の粘膜下のリフティングのみであった。しかしながら、TUNEL法を用いた染色では、パイエル板を中心にapotosisを認めた。 以上が申請した内容であるが、消化管からのリンパ球の分離が不能であったため不十分な実験結果となったため、以下の実験を追加した。 *出血性ショックまたはエンドトキシンショック時の血清IL-8の変化 出血性ショックではショック直後20.8±14.3pg/ml、6時間後118.3±63.7pg/mlと、contorol値22.8±9.4pg/mlに比べ、経時的に上昇傾向を認めたが有為な変化ではなかった。これに対し、エンドトキシンショックでは腹腔内投与2時間後に309.2±77.8pg/mlと有意に上昇した。 また、出血性ショックにおける蘇生輸液を全血と脱血量の4倍量の晶質液とで比較すると、6時間後では全血蘇生が118.3±63.7pg/ml、晶質液蘇生が130.0±113.1pg/mlと有意差を認めなかったものの、さらにこの状態にエンドトキシンを腹腔内投与すると2時間後には500.0±92.0pg/mlに対し870±201.5pg/mlと晶質液蘇生では全血蘇生に対し有意にIL-8が上昇していた。また、この出血性ショックとエンドトキシンショックを組み合わせたモデルにおいて経時的な生存率をみると、晶質液蘇生では全血蘇生に対し有意に生存率が低かった。
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