研究概要 |
脊髄損傷や前立腺肥大症、糖尿病など種々の排尿障害を伴う疾患では平滑筋の肥大と増殖が起こり膀胱のリモデリングが起こる。平滑筋の肥大によって相対的虚血が生じ,膀胱収縮力が低下することがあり,また膀胱平滑筋の肥大や増殖が膀胱尿管移行部の機能不全を起こして膀胱尿管逆流症や水腎症を生じ、やがて腎機能障害を招くことが知られている。我々は膀胱のリモデリングに自律神経系の関与を示唆し,その際にFos蛋白及びMyc蛋白が平滑筋組織に発現していることも観察した。今回は10週令のSDラットの膀胱平滑筋95%O_2/5%CO_2で飽和したKrebs-Hansleit液中でインキュベートし、種々の自律神経伝達物質で刺激し,前初期遺伝子群の発現を解析した。凍結膀胱平滑筋よりて総RNAを抽出し,1%agarose/2.2M formaldehyde gelsで電気泳動し,ニトロセルロース膜にトランスファーする。^<32>Pでラベルしたc-fosとc-mycのprobeを用いてNorthern blotを行い,オートラジオグラフィーでc-fosやc-mycの遺伝子発現について解析した。carbachol,substance P,VIP,adrenomedulline等で刺激を行なったところ,c-fosとc-mycのmRNAは刺激前に少量発現していたが,刺激後はadrenemeddullineだけがmRNA発現を亢進させる傾向がみられた。現在その機序について詳細に検討しているところである。
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