本研究では、ラットの脳におけるアロマターゼの部位特異的発現調節機構を明らかにするそのためにラット大脳皮質におけるアロマターゼcDNAの構造解析を行った。この結果、これまでに報告されていない新しいタイプの選択的splicingが存在していること、この結果、wild typeアロマターゼをコードしていないアロマターゼmRNA variantが転写されていること、さらに、このアロマターゼmRNA variantは大脳皮質のみならず、脳内各部位に広汎に存在していることを明らかにした。これらの成績から、このアロマターゼmRNA variantがアロマターゼの部位特異的発現調節機構に重要な役割を果たしている可能性が強いことが明らかになった。このアロマターゼmRNA variantの生理的機能の詳細については今後の研究課題として残されているが、このようなタイプの遺伝子発現の部位特異的発現調節機構の報告は他の遺伝子にはいてはほとんどみられておらず、極めて興味深い成績である。なお、この研究成果については、J.Steroid Biochem.Molec.Biol.誌にすでにacceptされている。
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