子宮頚癌34例(0期9例、I期7例、II期3例、III期5例、IV期3例、再発7例)と正常婦人16例を対象としてELISA法により、血清ICAM-1値を測定した。 測定結果は子宮頚癌0期:274±39ng/ml、I期:339±136ng/ml、II期:554±131ng/ml、III期:498±155ng/ml、IV期451±108ng/ml、再発:503±111ng/ml、正常対照294±84ng/mlで、腫瘍の子宮外への進展や再発に伴って、血清ICAM-1値は上昇する傾向が認められた(対照VSII期、p<0.05;対照VSIII期、p<0.05;対照VS再発、p<0.01;0期VSII期、p<0.025;0期VSIII期、p<0.05;0期VS再発、p<0.025;Scheffe's F test)。 また、正常子宮頚部組織3例、初発進行癌4例よりtotal RNAを抽出し、RT-PCRによりICAM-1mRNAの発現について検討したところ、子宮頚癌4例中1例と正常子宮頚部3例ではICAM-1 mRNAの発現が確認された。さらに、抗ICAM-1抗体を用いて免疫組織染色を行なうと、血管内皮細胞、炎症細胞および腫瘍細胞が陽性となった。 以上より、子宮頚癌においてICAM-1の腫瘍内での産生が増加し、一部が血中へ放出されていることが示唆された。ICAM-1は子宮頚癌の進展のメカニズムの一つとして関与しているものと思われる。
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