研究概要 |
子宮癌肉腫の血管新生の特性を明らかにするため、子宮癌肉腫8例のフォルマリン固定・パラフィン包埋切片を用いて、癌腫成分と肉腫成分の各々について血管新生因子と微小血管密度および腫瘍血管平滑筋の性状を免疫組織学的に調べた(マイクロウェーブ処理後LSAB法施行)。その結果、1)血管内皮マーカーであるCD-34陽性数で算定した単位面積あたりの微小血管密度の平均値は,癌腫成分が93.5,肉腫成分が41.8で、癌腫成分は肉腫成分と比較して有意に高い値を示した(P<0.05)。2)癌腫成分は肉腫成分と比較して有意に強いVEGFの発現を認めたが(P<0.05),TGF-βの発現に関しては有意な差は認められなかった。3)両成分における腫瘍血管平滑筋についてはα-SMAの染色態度に有意な差は認められなかった。4)未分化成分においてはTGF-βの強い発現傾向を認めた。また、培養系においても癌腫成分は肉腫成分と比較して強いVEGFの発現を認めた。結論:子宮癌肉腫において癌腫(上皮)成分は肉腫成分と比較して、高度な血管新生およびより旺盛な血管新生誘導を行なっている可能性が示唆され本腫瘍の上皮性起源説を支持するものである。
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