研究概要 |
1)家兎実験 2kgの白色家兎角膜に対してPRKとLASIKによる同条件の矯正(30Hz,130mJ,直径5mm,矯正度数6D,フラップ厚150μm)を施行した.術後は感染予防のため抗菌薬の点眼を3回/日,3日間投与した.ヘイズメーターと呼ばれる装置での客観的定量的測定において術後いずれの時期においても角膜上皮下混濁の程度はLASIKにおいて有意に低値を示した.組織学的検討においても術後表層実質に集簇する活性化された実質細胞や炎症性細胞の数はLASIKにおいて著明に少なかった.PRKにおいて認められる術後一過性の角膜上皮の肥厚もLASIKでは認められなかった.また,免疫組織化学学的検索においても術後に産生されるタイプIIIコラーゲンはLASIKにおいて著明に少なかった.PRKとLASIKを比較した場合,LASIKにおいて術後組織反応あるいは創傷治癒反応は軽微であることがわかった.換言すると,角膜屈折矯正手術という観点から見てPRKよりもLASIKの方が術後矯正効果の安全性,維持は良いものと考えられた.ただし,今回の結果からは安全性の比較は困難である. 2)マウス実験 マウス角膜(BALB/C,生後8〜10週)に対するPRKは可能であったが,LASIKは器械技術と費用の問題で困難であった.ただし,PRK(30Hz,130mJ,直径1.5mm,切除深度50μm)を施行した場合(術後は感染予防のため抗菌薬の点眼を3回/日,3日間投与),摘出角膜を使用したRT-PCRによりmRNAとELISA法の解析を行うと,炎症性サイトカインであるIL-1は正常状態よりも亢進していることが認められた.他の炎症および線維化に関与しているサイトカインTGF-β,TNFなどは現在検討中である.また,各サイトカインが上皮あるいは実質由来であるかも現在検索中である.
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