研究概要 |
予備実験からアイソアクリルアミドゲルが相転移を生じるときの屈折率の変化は0.02減少することがわかった。同時にその光源の波長を可視光領域(380-780nm)で変化させてその分散を測定した結果屈折率の減少とともに分散が1/3に減少することが示された。また豚眼水晶体の切片でも張力をかけた時に同様な変化が見られた。ゲルに普遍的な相転移と言う現象はゲルの屈折率の変化、分散の変化を伴うのではないかと考えられる。水晶体もそのように屈折力を変化させて調節に役立てさらに遠方を見ている時はその屈折時の分散を小さくしてより明確な色収差のない像を得ているようである.つまり遠くを見るときはチン氏体が緊張して水晶体の曲率半径を大きくするのみならず、水晶体のゲル自身の屈折率、分散が小さくなっているようである。人において20才の成人で10Dの調節を得るためのシュミレーションを行って見る。調節弛緩時の水晶体前面の曲率半径を10mm,後面の曲率半径6mm,水晶体全体の屈折率を1.413と考えると、調節時には前面の曲率半径を6mm,後面の曲率半径5.5mm,となり水晶体の屈折率は1.424が必要となる。このことは予備実験の結果と矛盾しない。また動的レーザー光散乱の結果から水晶体ゲルの臨海現象は皮質でより明らかであった。これは実際の屈折率分布をした水晶体を考えた場合調節時にその屈折率の差を大きくして合目的であると考えられる。さらに調節弛緩時の分散が小さいことから遠見時にはよりはっきりした像が見えることとなりこれも合目的であると考えられる。
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