1、動物眼での実験モデルの確立 白色家兎に実験的にトラベクレクトミ-を施行し、その創傷治癒を組織学的に考察した。その結果、術後、結膜下結合組織及び強膜の術創には、線維芽細胞の増殖を中心とした治癒過程が観察された。これらの細胞はPCNA免疫染色陽性陽性で、活発に細胞分裂してると考えられ、また、同細胞はプロリン水酸化酵素陽性で、コラーゲン合成に関与していると思われた。また、創傷部では、各種コラーゲン分子種以外にファイブロネクチンの免疫染色性の増強が見られた。 2、フィブロスタチンC局所投与の創傷治癒に対する影響 フィブロスタチンCの結膜下注射を施行した家兎眼では、光学顕微鏡レベルでの観察で術部の創傷治癒が遅延していることが確認された。術後の眼圧の経過は、投与郡では、より眼圧が下降している傾向を示したものの有意ではなかった。マイトマイシンCとフィブロスタチンCの併用では、マイトマイシンC単独投与との差異が創傷治癒の検討では有意でなかった。眼圧下降の面からさらなる検討が必要であると考えられた。術部の各種コラーゲン分子種などの結合組織成分やプロリン水酸化酵素の免疫局在も光学顕微鏡レベルでは著明な差異を検出できなかった。電子顕微鏡レベル及び遺伝子レベルでの検討の必要性が示唆された。
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