1)In vitroにて抗N-CAM抗体作用後の腫瘍細胞増殖の観察 10%のbasal mediumを加えたRPMIにて培養したC1300細胞株(cell line N2A)に、抗N-CAMモノクローナル抗体を加え作用させた。コントロールIgG抗体を同様に作用させた細胞株はaggregationを起こしていたのに対し、抗N-CAM抗体を作用させた細胞株では細胞間に隙間を認め、aggregationが抑制されているのが観察された。 2)In vivoでの腫瘍細胞増殖の観察 1x10^6のC1300腫瘍細胞をA/Jマウスの腹腔内に移植し、第4病日に抗N-CAMモノクローナル抗体を腹腔内投与した(n=20)。コントロールとしてIgG抗体を同様に作用させ、第14病日に腹腔内の腫瘍増殖を観察した(n=20)が、両群とも腹腔内での腫瘍増殖、各臓器への転移を認めなかった。コントロール群においても腹腔内での腫瘍増殖が認められなかったため、移植腫瘍細胞数、および屠殺までの期間などに関し、再度検討する必要がある。 3)DNA cleavageの観察 1)と同様にして、抗N-CAMモノクローナル抗体を作用させた腫瘍細胞のDNAを抽出し電気泳動を行ったところ、アポトーシスに特有のladder patternが形成された。 4)Apoptotic bodyの観察 1)と同様にして、抗N-CAMモノクローナル抗体を作用させた腫瘍細胞を電子顕微鏡で観察したところ、apoptotic bodyの形成を認めた。 5)結論 上記1)3)4)により、in vitroにおいては抗N-CAMモノクローナル抗体は神経芽腫C1300腫瘍細胞のアポトーシスを誘導することが確認された。しかし、臨床に応用させ治療に結びつけるためには、in-vivoにおける証明も必要である。これらは今後の課題と考える。
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