研究概要 |
申請者は,これまで安定した結果の得られるヒト組織内微小リンパ管の特異的同定法が確立されていなかったことから、免疫組織化学的方法を用いたヒトリンパ管特異的同定法を開発し(印刷中)、専門学会に報告した(第42回日本解剖学会東北・北海道連合地方会、平成8年9月、山形。第38回歯科基礎医学会、平成8年10月、横須賀)。本方法は、ヒト胸管内皮細胞の膜蛋白特異的抵抗体が、抗ラミニン抗体で強く染色される血管様構造物に反応を示さず、リンパ管様構造物のみを認識することから確立した、抗体ヒト胸管抗体によるヒトリンパ管特異的免疫染色法である。また、抗ヒト胸管抗体でリンパ管を、さらに抗ラミニン抗体で血管を鑑別染色する二重染色法を確立した。本染色法は次の点で画期的であると思われる。1)反応が特異的であり、且つ通常の固定・染色操作で抗原決定基が失活しないことから、安定した血管が得られること。2)入手の容易な市販の抗体を用いた凍結切片に対する方法であることから、病理検査など一般的方法として有用であること。申請者はこれまでその存在に関して種々の論争のあった、ヒト歯髄リンパ管の光顕的同定を行った(投稿中)。また現在、本方法によって同定した種々の組織内微小リンパ管の内皮細胞について、イムノグロブリンスーパーファミリーの発現を検索し、リンパ管内皮細胞の細胞輸送機能を検討している(投稿準備中)。
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