研究概要 |
バッファローラットの足蹠に,各種細菌の全菌体や細胞壁成分を流動パラフィンに混じて注射(1回投与)し,その後カリパ-にて経時的に注射局所の腫張を測定した。骨形成の認められたバッファローラットに関しては,適宜,病変部位の軟X線写真撮影ならびに病理組織標本を作製してヘマトキシリン・エオジン染色を行って鏡検した。その結果,供試した標品の中で結核菌菌体と細胞壁ならびにwaxDが注射局所の持続的腫張(炎症)を惹起した。Nocardia属を含め,他菌種の菌体やペプチドグリカン,リポ多糖(LPS)さらに結核菌のコードファクターには,そのような活性は認めされなかった。WaxDによる病変部の病理組織学的所見として,1-2週目までは皮下組織に限局した炎症巣が認められ骨形成がみられた。3週目では炎症が急性憎悪し骨にも好中球を主体とする炎症細胞浸潤,すなわち骨髄炎様の炎症がみられ,骨形成が骨膜全体に認められた。その後も炎症が持続し最終的に骨の再構築(リモデリング)が起った。ちなみにバッファローラットに結核菌菌体やwaxDをフロイントアジュバンドに混じて油中水滴乳剤(w/o)として注射した場合の骨形成誘導活性は少なかった。今後,顎放線菌症等の感染症に伴う骨の過形成やBMP(bone morphogenic protein)との関連性も考慮して,本反応に関与している因子を追求して発症のメカニズムを明らかにしたいと考えている。
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