これまで、Porphyromonas gingivalisの病原因子の一つである付着因子について検討するため、P.gingivalis KD1株遺伝子ライブラリーを作成し、得られたNH37株とその保持するプラスミドpNH37がコードする血球凝集活性領域の解析を行ってきた。その結果、55kDaの血球凝集性タンパク質をコードする遺伝子をクローニングに成功し、その性状並びに機能について報告してきた。さらに平成8年度科学研究費補助金の助成を受けこの領域について検討したところ、55kDaタンパク質遺伝子に相同性の高い領域がKD1株染色体DNA上に存在することが確認された。また55kDaタンパク質遺伝子とそれに近接する領域には、最近までに報告されたP.gingivalis381株の血球凝集素遺伝子hagA、W50株由来のプロテアーゼ遺伝子tlaやarginine-specific thiol protease(prtR)、W12株由来のシステインプロテアーゼporphypainプロテアーゼ遺伝子prtP、W83株由来のプロテアーゼ遺伝子prtH、381株由来のArg-gingipain-1やLys-gingipain(kgp)さらにarginyl endopeptidaseなどの遺伝子と非常に高い相同性を持つ部分が存在することが判明した。これらの結果より55kDa血球凝集タンパク質に相同性の高い領域は、P.gingivalisのいずれの株においても病原因子として重要な付着因子や組織破壊因子をコードしていることが示唆された。
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