研究概要 |
頭頚部悪性腫瘍のリンパ節転移の診断には従来よりMRI、CTやUSが用いられ、描出された画像の形態的な特徴から転移性リンパ節の診断が行われてきた。著者は、腫瘍細胞の糖代謝やリンパ節の血流といったリンパ節の機能面からの診断を行うべく、fluorodeoxyglucose(FDG)というトレーサーを用い、Positron Emission Tomography(PET)による転移性リンパ節の評価とカラードプラによる血流評価を行った。 対象は、臨床的に転移性リンパ節が疑われ、頭頚部郭清術を施行し病理組織学的検索が行われた頭頚部悪性腫瘍患者を対象とした。 病理所見とPET所見を比較した結果、FDGは生存する癌細胞にのみ集積する性質があることが予測され,たとえば大きなリンパ節であってもその細胞の割合が小さい場合にはfalsenegativeになる可能性があること、またMRIやCTで検出されるcentral nodal necrosisの部位には集積しないということがわかった。 病理所見とカラードプラ画像を比較した結果、リンパ節のサイズがある程度大きなものでないとドプラ信号は検出できないことがわかった。また、転移のないリンパ節ではリンパ節門部に血流が認められるが、転移性リンパ節では内部に血流のないものが多いほか、リンパ節周囲に血流が認められる症例が多かった。 今後さらに症例を重ね、転移性リンパ節と反応性リンパ節との鑑別基準を確立したい。
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