研究概要 |
結合組織を構成するコラーゲンやプロテオグリカンを主体とするマトリックス成分の分解に間質コラゲナーゼ、ゼラチナーゼ、ストロムライシンに代表されるマトリックス金属プロテアーゼ(MMP)が主体をなし、同時にこれらのMMPの共通のインヒビターとしてtissue inhibitor of metalloproteinases(TIMP)の存在が明かとなった。また最近になりTIMPはMMPのインヒビターとしての機能のみならず、様々な細胞の成長因子として注目されてきた。そこでこのTIMPが骨髄細胞培養系において破骨細胞形成に影響しているのではないかと考え研究を行った。 今回の結果から培養時に使用するウシ胎児血清(FCS)から抗TIMP抗体によるアフィニティクロマトグラフィーでTIMPを除去しTIMPフリーFCSを作製し骨髄細胞培養系に用いたところ全く破骨細胞の形成は認められなかった。またTIMPフリーFCSにリコンビナントTIMP-1,2を加えこの実験系で破骨細胞の形成を調べたところ、TIMPを除去する前のFCSと同程度の破骨細胞形成が認められた。我々はこの事実からTIMPが破骨細胞前駆細胞の成熟に関与していることが明らかとなった。今後骨器官培養系の実験を行うことにより破骨細胞の活性化にTIMPにより破骨細胞の活性化にも関与しているかどうかをも同時に調べる予定である。
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