研究概要 |
歯周病細菌内毒素(LPS)による歯周組織構成細胞の直接傷害機序を細胞内に侵入したLPSによるミトコンドリア代謝障害の面から調べるため,歯周病細菌LPSをラット歯周組織細胞から調製したミトコンドリアに添加し,その酸化的リン酸化能の障害を調べ,以下の結果を得た。 1)機械的ホモジナイズならびに酵素消化を組合せることで,ラット歯周組織ならびに周辺の口腔組織から代謝活性を保存した状態でミトコンドリアを調製する実験系を確立した。 2)ミトコンドリアの障害を酸素消費量測定によって酸化的リン酸化能の面から評価する実験系を確立した。 3)ラット歯肉組織から得たミトコンドリアの酸化的リン酸化能はPorphyromonas gingivalis FDC381株由来のLPSによって阻害を受けた。その程度はEschericia coli LPSによるそれと同程度であった。 4)ラット頬粘膜組織から得たミトコンドリアの酸化的リン酸化能も,P.gingivalisならびにE.coli LPSによって同様の阻害を受けた。すなわち,LPSによるミトコンドリア障害には由来臓器による違いはほとんど認められなかった。 これらのことから,LPSが細胞内に侵入しミトコンドリアに作用すると,酸化的リン酸化反応が障害されて細胞のATP産生が著しく低下して細胞傷害が惹き起こされることが示唆された。
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