研究概要 |
本研究では光をプローブとする顕微鏡を用いた、歯科材料と細胞の接着状態を観察し、材料の表面性状と接着した細胞の形態との関連を見出すことを目的とした。 細胞接着用の基板(歯科材料)はガラス及びチタン系材料を用い、一部試料についてはゾル-ゲル法によるコーティングを施すことにより表面性状を変化させた。観察用の細胞にはヒト骨芽細胞を用い、同細胞懸濁液を滅菌した各種基板上に播種し、37℃, 5%CO_2雰囲気下で培養して細胞を基板に接着させた。細胞の観察は通常の光学顕微鏡、レーザー顕微鏡及び原子間力顕微鏡、フォトン走査顕微鏡により行った。レーザー顕微鏡を用いた場合、細胞を無処理で観察できる他、細胞の立体的形態を得られる利点があり、フォトン走査顕微鏡では100nmレベルの光学的な微細構造を非接触で測定できる利点がある。 光学顕微鏡による観察では基板の種類や表面処理(コーティング)による細胞の付着数や形態の差は見られなかった。レーザー顕微鏡による観察では基板表面に付着した細胞の立体的形状が測定可能であった。但し、本研究で使用した基板、細胞間の親和性がいずれも高いためか、付着細胞の形態に有為な差は見られていない。原子間力顕微鏡を用いた場合には細胞表面の微細構造の観察が可能であった。フォトン走査顕微鏡については試料表面の凹凸の許容幅が狭く、細胞の観察には使用できていないが、材料表面のコーティング膜の付着状況の観察には有意であることが分かった。
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