研究概要 |
本研究はチタンおよびチタン合金を用いた部分床義歯の補綴臨床の検討を目的として行われ,実験的研究ならびに臨床的研究の結果,その有効性や問題点などについて,いくつかの重要な知見を得ることができた.具体的な実績は以下の通りである. 1)チタン合金の中でも,超塑性チタン合金(Ti-6Al-4V)を利用した新しい義歯の適合性と設計形態との関連性,およびそれらの要素と密接な関係を持つ義歯の耐久性に関する基礎的な実験的研究を行い,義歯床の厚さと適合性に関する製作上重要な指針を得た.(Int J Prosthodont 1996;9(6);520-526に掲載) 2)超弾性とよばれる特異な性質を持つチタン合金(Ti-Ni)を利用すれば,長期間使用しても維持力が衰えて「ゆるく」ならない義歯を製作できる可能性がある.この義歯の維持力に関する未知の性質を,基礎的な研究により一部明らかにした(Proceedings for the second biennal meeting of ICPAC 1996;41-42に掲載).またこの義歯の臨床応用の可能性を探るため,少数の症例について検討を試み,その術後経過からいくつかの興味深い知見を得た.(第10回歯科チタン研究会大会講演抄録集1997;86-87に掲載). 3)義歯に対する患者自信による評価を試みるため,質問表を用いた方法による統計的手法の妥当性についての検討を行い,新しい知見を得た(日本補綴歯科学会雑誌1997;41(1):106-111に掲載). 以上すべての研究を遂行するにあたり,平成8年度科学研究費補助金が不可欠な財政的支援としての役割を果たした.
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