研究概要 |
本研究では磁気位相空間の測定原理を応用した上顎6自由度,下顎6自由度運動が測定可能な試作測定器について,改良を加え以下のような結果を得た. 1.磁気位相空間を形成するためのコイルドライブ回路およびセンサ回路について,パーソナルコンピュータと回路シミュレーションソフトを用いて最適の回路設計を行った. 2.回路シミュレーションにより得られた最適な回路またはそれに近い回路を製作して試作測定器に応用し,出力データについて検討した.その結果,より安定したデータが得られるようになり,データの信頼性も向上した. 3.測定器の校正については,現時点では効率の良い最適な6自由度の校正方法が確立されておらず現在考案中であり,厳密な校正を行ってはいないが,改良前と比較して出力データの安定性,信頼性の向上により精度も良くなっていると思われる. 4.顎機能異常者,とくにクリッキングを有する被験者についての顎運動測定については,6自由度の各要素が時分割測定ということもあり,顎頭部の詳細な解析には不十分である.しかし,データの安定性,信頼性の向上を図ることができたことにより,顎運動測定のサンプリングレートを高くすることや,6自由度の各要素の同時測定の可能性が示唆された.したがって,今後のさらなる改良によりクリッキングなどの高速の顎運動での6自由度顎運動パラメータも算出可能となり,顆頭部を含めた詳細な解析も可能であると思われる.
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