研究概要 |
局部床義歯支台歯の質的違いがLife spanに及ぼす影響を明らかにすることを目的として,Life spanに与える多因子の相互作用効果を明確にするために,局部床義歯支台歯を対象として,生活歯76歯,失活処理歯69歯に分け,28項目にわたる臨床診査を行なった.分析は義歯使用年数を従属変数とし,各臨床診査パラメータを独立変数として重回帰分析を行ない次の結果を得た. 1.生活歯と失活処理歯ではLife spanに影響を与える因子が異なっていた.2.生活歯は咬合様式,対顎補綴物の種類,口腔清掃回数,義歯清掃回数など咬合に関わるもの,Plaque controlの関わるものなど一口腔単位での評価項目が影響の強い因子となっていた.3.失活処理歯は総残存歯数,Eichnerの分類など哈合支持に関するもの,レストの形態など補綴学的要因に関するもの,Pocket depth,Plaque Index,CPITNなど歯周疾患に関するものと多岐にわたり,一口腔単位の評価項目のみならず,当核歯の評価項目が影響の強い因子となっていた. 以上のことから,局部床義歯支台歯のLife spanは,生活歯支台歯と失活処理歯支台歯では異なり,特に失活処理歯は,生活歯に比較して支台歯選択時により詳細な診査が必要で,また局部床義歯台歯の設計において,レストの形態および数,すなわち鉤間線など力学的な構成への配慮が重要であることが明かとなった. 今後はさらに因子を絞り,局部床義歯予後推定の一助となるものを検討したい.
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