近年、低出力レーザーの星状神経節照射により同神経節支配領域の疼痛・麻痺および自律神経失調などの改善に効果があることが指摘されており、当教室では過去9年間に顔面領域における三叉神経痛、知覚神経麻痺や顔面神経麻痺などの神経疾患の治療にたいし、半導体、He-Ne、Nd:YAGなどの低出力レーザーを星状神経節相当部に照射し、その臨床効果を報告してきた。 今年度は、発振波長の異なる2種類のレーザー(波長810nmのモリタ製作所試作Ga-Al-As半導体レーザーDSL-1000、波長1060nmのS.L.T.Japan社製Nd:YAGレーザー)を用い、各々を低出力レーザーの範疇である出力(300mW)に設定し、健常者ボランティア各10名の左側星状神経節に照射し、日本アビオニクス社製サーモグラティThermal Video System TVS-2000を用い顔面皮膚温度変化を、T.S.I.社製LASERFLO BMP430Aを用いニードルプローブにて顔面皮膚血流変化を定量的に行い、日本コーリン社製自動血圧計(BX-5)を用い収縮期血圧、拡張期血圧、脈拍数を測定。また、経時的な血中カテコールアミン(アドレナリン、ノルアドレナリン)の測定を行った。その結果を現在分析し、発振波長の違いによる比較検討を行っている。来年度に、その結果を学会等において発表する予定である。また、さらなる研究を重ね、低出力レーザー星状神経節照射の神経に対する作用の伝達経路を明らかにすることを目的としている。
|