研究概要 |
斜位頭部X線規格写真を用いた3次元規格化像構築のための問題点に重複する側方歯の読影の困難さがある。側方歯が明確に撮影される条件の確立および計測点入力の効率と精度の向上のためのプログラムの開発を試みた。 1.乾燥頭蓋の各計測点上に鉛球等を貼付し、上下的な頭位として上方10°,0°,下方10°、かつ各々水平的に30°(反対側60°)、35°(反対側55°)、40°(反対側50°)、45°(反対側45°)の斜位条件を設定し、斜位頭部X線規格写真を撮影した。 2.各条件下で撮影された斜位レントゲンフィルムのトレースから3次元構築を行い、頭蓋骨上の計測点間距離を実測値と比較したところ、各条件での相対誤差はほぼ3%以内と高い精度が得られた。しかし、トレースにおいて水平的条件の30°、35°ではフィルム面から遠い側方歯の根尖部の像が重なり困難となった。また、上下的条件では上方10°で咬合平面が左右でほぼ平行となり、また下顎枝とも重なるため左右歯牙の判別が困難であった。臨床的に適した斜位頭部X線規格写真の撮影条件としては、上下的にFH平面と床が0°〜下方10°、左右的には40°〜45°(反対側50°〜45°)の範囲であると考えられる。 3.各条件下の画像およびトレースをイメージスキャナーにてデータを取り込み、画像処理ソフトにてフィルタリングし、2値化を行った結果、フィルム面に近接する歯牙および下顎骨外形についてはほぼ輪郭を抽出できたが、頭蓋内に重複して投影されている骨外形や歯牙の重なりを鮮明に抽出することが困難となった。また、細部にわたる手作業での抽出となり精度も低下するため、現在画像処理方法ならびに条件の確立、および左右画像データをマッチングしながら輪郭を抽出、確定するアルゴリズムを検討中である。
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