ヒト線維芽細胞TIG-3をSV40の大型T抗原で不死化した細胞株SVts8細胞のmRNAを用いてZAP-express cDNA libraryを作製した。本ライブラリーは2×10^6pfu/μgでありスクリーニングに用いるものとして高品質であった。本ライブラリーを有限寿命のSV40トランスフォーム細胞と不死化細胞(SVts8)mRNA由来のプローブを用いて約10^6クローンをスクリーニングしたところ最終的にノーザン解析で顕著な差が見出されたクローンとして5クローン得られた。これらのうち1クローンは、その他の不死化細胞で発現が減少しているのであった。このクローンの塩基配列を決定したところ既知のものとのホモロジーはなかった。様々な培養がん細胞での発現を検討したが、正常細胞とがん細胞株との間で顕著な差が見出せなかった。 また、Differential display方を用いて、約20種類のプライマーを用いスクリーニングを行ったところ有限寿命細胞と不死化細胞でその発現に差があったものが約40クローン得られた。このうち、不死化細胞で発現が減少するのが10クローン得られた。これら遺伝子断片はいずれも200bp程度の長さのものであった。これらについても塩基配列を決定したところ、4クローンは未知の遺伝子断片である可能性が考えられた。現在、これらの遺伝子の完全長cDNAの単離、機能解析を進めている。特に、これらクローンがテロメラーゼ活性の制御に関わっているかどうかを細胞レベルで検討中である。
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