DNA弛緩反応による熱ショック蛋白誘導のメカニズム

1996 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 08772098
• 研究機関: 九州大学
• 研究代表者: 水島 徹 九州大学, 薬学部, 助手 (00264060)
• キーワード: DNA弛緩反応 / 熱ショックタンパク

研究概要

私は、DNAをスーパーコイルさせる酵素(DNAジャイレース)の阻害剤が熱ショック蛋白誘導を起こす事実に注目し、DNA弛緩反応が熱ショック蛋白誘導を起こす、言い換えれば、DNAの超らせん構造が熱ショック反応のセンサーであるという仮説を立て研究を開始した。そして、(1)熱刺激を含めて全ての熱ショック蛋白誘導を起こすストレス刺激が同時に細胞内のDNA弛緩反応を導く(2)このDNA弛緩反応は熱ショック蛋白誘導の結果起こる反応ではない(3)熱刺激後のDNA弛緩反応と熱ショック蛋白誘導の間には密接な相関関係があることなどを明らかにした。これらの結果はDNA弛緩反応により熱ショック蛋白誘導が起こされることを強く示唆しているものである。さらに私は、細胞内のDNAを特異的に弛緩させる薬剤(DNAジャイレースの阻害剤)が熱ショック蛋白誘導時に、σ^<32>の転写段階での合成及び安定性を促進させる事実を見いだした。この事実は、DNA弛緩反応がσ^<32>の合成及び安定性に関与し、熱ショック蛋白誘導を起こす可能性を示唆している。

研究成果

• [文献書誌] T.Mizushima et al.: "Effect on DNA Topology by DnaA protein" Biochemistry. 35,35. 11512-11516 (1996)
• [文献書誌] T.Mizushima et al.: "Influence of Cluster Formation of Acidic Phospholipids" J.Biol.Chem.271・7. 3633-3638 (1996)
• [文献書誌] T.Mizushima et al.: "Molecular Design of Inhibitors of In vitro oric Replication" J.Biol.Chem.271・41. 25178-25183 (1996)
• [文献書誌] T.Mizushima et al.: "Pherotype of dnaA mutant" Mol.Gen.Genet.252. 212-215 (1996)
• [文献書誌] K.Kataoka et al.: "Heat Shock-induced DNA Pelaxation" J.Biol.Chem.271・40. 24806-24810 (1996)
• [文献書誌] Y.Ogata et al.: "Dnak Heat Shock protein" J.Biol.Chem.271・46. 29407-29414 (1996)
• [文献書誌] T.Mizushima et al.: "Co-induction of DNA relaxation and synthesis of DnaK and GroEL protein" Mol.Gen.Genet.250. 393-600 (1996)