まず、大腸菌を用いてグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)融合cPLA_2及びT7-tag融合cPLA_2の調製した。これらを材料にcPLA_2相互作用タンパクの検索を、Far-Western法により行った。その結果、マウス腹腔マクロファージ、マウス骨芽細胞株MC3T3-E1及びラット線維芽細胞株3Y1に、GST-cPLA_2とT7-cPLA_2の双方を用いた際に同様に検出される、分子量約60kDaのタンパク(p60)を見いだした。Far-Western解析を行う際に、バキュロウイルス発現系で調製したcPLA_2を過剰量添加すると、p60のバンドがほぼ完全に消滅したことから、p60はcPLA_2に特異的に結合すると結論した。また、p60は、cPLA_2のN末端138アミノ酸のみを融合した変異タンパクであるGST-cPLA_2(1-138)とも強く結合することがわかった。さらに、p60とcPLA_2の結合をEDTAが阻害した。cPLA_2のN末端領域には、Ca^<2+>濃度依存的な膜移行に必須なCaLBドメインと呼ばれる配列が存在している。従って、p60とcPLA_2の結合は、Ca^<2+>濃度依存的にCaLBドメインを介していることが予想された。p60の細胞内局在性を検討した結果、マクロファージではほぼすべてが膜画分に存在するのに対し、MC3T3-E1細胞では可溶性画分と膜画分の両方に同程度存在した。このことは、p60の機能の多様性を示していると考えられるが、さらなる検討が必要であると思われる。
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