ヒトDNA複製に関与するヘリカーゼの候補である、ヒトDna2ヘリカーゼの機能解析を行うために以下の実験を行った。 1.Dna2ヘリカーゼをコードするcDNAを単離した。ノーザン解析で検出されるバンドザイズに近い4.2kbの塩基配列を決定したが、5'末端のメチオニン残基が検出されないことから完全長ではなかった。5'RACE法によるクローニングを試みたが、5'末端部の回収はできていない。 2.クローン化したcDNA(3'UTRを一部除く約3.5kb)をバキュロウイルスベクター(pFastBAC)に組み込んだ発現コンストラクトを作製した。現在、その蛋白質発現について検討中である。 3.ヒト遺伝病との関連を検討するためにDna2ヘリカーゼ遺伝子の染色体マッピングを行い、ハイブリッドパネル法とFISH法との併用により第10染色体バンドq21.3-q22.1にマップした。このローカス(DNA2L)近傍は、del(10)(q22-q24)やinv(10)(q11-q21)などの癌関連染色体異常が報告されている。 4.出芽酵母Dna2ヘリカーゼの機能相補性実験のためのDna2遺伝子破壊株を作製した。遺伝子破壊は、HIS3遺伝子挿入により行ない、破壊株は4分子解析で致死であることが確認された。
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