研究概要 |
1.目的 HOT患者の24時間の日常生活における酸素飽和度(以下:Sao_2)の脱飽和時間比率と低下度を同時に評価できる管理指標(DIHOT-F)の再現性、患者教育による変動性を示す。 2.対象と方法 1994年までにDIHOT-Fを評価したHOT対象者10例のうち、追跡し得た8例を対象とし、方法は再度訪問調査によりDIHOT-Fを評価し、再現性を管理区分、患者教育内容、日常生活等を加味して検討した。 3.結果1)対象の背景:主疾患はCOPD5例(62.5%)、珪肺3例(37.5%)、酸素使用時間は平均10.2時間/日であった。2)DIHOT-Fの再現性:覚醒時DIHOT-Fは前回評価時平均156.9± 117.5、今回評価時平均73.2±61.7で有意に低下し、教育によるDIHOT-F値の低下が示された(P<0.05)。 一方,睡眠時DIHOT-Fは第1回評価時平均9.4±7.1、今回評価時平均91.2±99.9で平均値は上昇していたが、4例で再現性が高かった。3)教育内容及び日常生活からみたDIHOT-Fと管理区分の変化:管理区分別の変化は、第1回管理区分B3例、区分C2例、区分D1例、区分E2例であったが、今回評価で好転した者は5例(62.5%)であった。主な教育内容は外出・負荷動作時の酸素使用法、呼吸法、禁煙。酸素チューブの延長、社会制度の活用などであった。教育の結果、患者自信が日常生活に応じた酸素使用を受け入れ、呼吸法を修得でき、減煙が成功しまたは、DIHOT-Fにより酸素処方が修正された例などで管理区分が好転していた。 4.考察 在宅生活を同一条件にしてDIHOT-Fを評価し再現性を検討することは困難であったが、同一条件を得やすい睡眠時DIHOT-Fについては再現性があるものと考えられた。本指標はSao_2脱飽和を定量的にとたえ、かつ鋭敏性が高いため、特に覚醒時の日常活動下のSao_2低下を防ぐ教育に利用でき得ることが示唆された。
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