在宅看護を支援するツールのひとつとしてパーソナルコンピューターで利用可能なアプリケーションソフトのデザインを考える場合に、押さえておくべきポイントを抽出した。項目の柱として、(1)コンテンツ、(2)インターフェース、(3)アプリケーションソフトの形態とインフラストラクチャーとの関係を立てた。その上で、情報ネットワークが急速に整備されつつある現在、在宅看護支援ツールが電子メディアとして提供されるメリットとデメリットを考察した。また現在までに存在し、一般レベルで共有されている看護情報ソースが一般の利用者に利用しにくい理由も考察した。主な理由としては、(1)ソースの在処がわかりにくいこと、(2)専門職を対象としてため、語句や臨床における意味が一般に利用者にはわかりにくいこと、さらに明確にはとらえにくい概念として(3)コンテンツの構成とインターフェースが吟味されていないことなどがあげられた。 これらの問題点の是非を論じる拠点として、看護情報のハイパーメディア空間における配置について検討した。これは看護教育の現場に関わる問題でもあり、十分に吟味できず再構成には至らなかったが、場面を在宅とし対象を成人・老人と設定した場合のさまざまなケースを想定して、配置を試みた。 以上のことを試行したと同時に、臨床看護教育における保健・医療情報システムの中での「看護情報システム」のあり方やその教育の重要性、基礎看護教育における「ハイパーメディア空間における看護情報の配置」という概念の必要性を示唆できたものと考える。
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